【短】碧くんしか見てないよ


「軽っ」


言葉通り、わたしのことを軽々とおんぶする碧くん。


そして、ゆっくりと階段を下っていく。


うそお…碧くんに、おんぶされてる。


こんな、密着してる。


足も、触られてる。


これくらいで照れてる自分も、恥ずかしい。


ほんとに軽々と。


わたしと身長差あるのに、そんなの関係ないみたい。


碧くんは、すごくかっこいい男の人だ。


「紺野さん、軽すぎ。メディシンボール2個分と同じなんだけど」


「め、メディシンボール…?」


「部活で使うボール」


わたしの体重が、ボール2個分!?碧くん、それは盛りすぎだよ!!


「もっと太ったほうが、好みなの…?」


「そういうわけじゃないけど、食べないとかは、好きじゃない」


…もしかしてわたし、食べてないと思われてる?


「碧くん。わたし、ちゃんと食べてるよ。食べ放題、よく行くし。ただ太らない体質なの」


「そっか、それなら安心した」


…ふふっ、碧くん、なんかお母さんみたい。


面倒見よさそうだもんなあ。


これから碧くんのいろんな一面を知りたいな。


サッカーしてるところはもちろんだけど、ほかにもたくさん。


それで、わたしのこと、好きになってもらいたい。


好きになってもらえるように、努力しよう。


…だけど、碧くんはなにも努力しなくていいよ?


だってもう──


「碧くん、…好き」


今までずっと、あの渡り廊下から眺めていた分を込めて。


碧くんの背中にぎゅっと抱きついた。


なのに…。


碧くんからの、反応は、ない。


だけど、よく見ると。


「…碧くん、耳、真っ赤…」


「…見ないでよ」


「…可愛い」


可愛い。


可愛すぎるよ、碧くん。


「…紺野さんのほうが、可愛いよ」

って。


碧くんに言われたから、わたしまで熱いのがうつってきた。


わたしの“好き”も──


はやく碧くんにうつるといいな。


*おわり*

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