Snow Doll ~離れていても君を~
私ならたぶん、友達や自分のしたいことを優先してしまう。
家族から連絡が来ても無視すると思う。あんな楽しいパーティーだったのだから。
「そうかな……」
「春馬君は家族の人が大事なんだね。一花ちゃんのことも大切に思ってるんでしょ? 友達とはまた遊べるけど、一花ちゃんのお世話ができる人がいない状況なら、誰かが代わりにやらなくちゃいけないよね」
雪玉を作りおままごとをしている一花ちゃんのそばへ、私は歩み寄った。
「一花ちゃん。暗くなるまでみんなで遊ぼうか」
「うん!」
つぶらな瞳の一花ちゃんは目をキラキラさせてうなずいた。
ふと振り返ると海里が私のことを見ていて、思い切り目が合う。
春馬君に熱く語ってしまったことを聞かれていたわけで、今頃恥ずかしさが込み上げてくる。
けれど海里は私に向けてフッと微笑みかけたあと、公園の中へ入ってきた。
てっきり一人で先に帰るかと思ったのに。付き合ってくれるようだ。
私は雪で、小さな女の子が好きそうな人形を作ってみた。
小石と細い木の枝で顔を描く。
一花ちゃんは舌足らずな声で「かわいー」と手を叩いてくれた。
ケイも子どもが好きなのか、一緒におままごとを始めている。
「じゃあ、私がお母さん役ね。一花ちゃんは子ども役」
「はーい」
ケイのことを女の人だと信じているのかいないのか、楽しそうに返事をしていた。