Snow Doll ~離れていても君を~
野菜コーナーに短くカットされた大根が置いてあり、明日の朝食のパンもついでに買ってコンビニの出口へ向かう。
私より一瞬早くドアを開けて外に出た人が、私に気づきドアを押さえて待っていてくれた。
「ありがとうございます」
お礼を言ってその人の顔を見たとき、見覚えのある髪の色だったので目を見開く。
赤茶色の髪──同じクラスで海里の友達の、小野寺君だった。
「あれ、姫? 偶然だな」
小野寺君は人懐こい表情で私へ笑顔を向ける。
「姫って……恥ずかしいから、あんまり人前で呼ばないでね」
控えめに本音を言ってみる。
「えー? じゃあ、優希奈ちゃん。この辺に住んでんの?」
「うん、まあ」
「帰り道、危ないから送るよ」
一緒の方向に歩きながら、小野寺君が私の顔を覗き込んで言った。
「えっ、いいよ。ほんとに近くだから」
「いやいや、姫を一人にしたなんて知れたら、俺、海里に殺されるから」
強く言われると断れない私は、小野寺君にマンションまで送ってもらうことになった。
信号を渡って少し歩くと、すぐにマンションが見えてくる。