Snow Doll ~離れていても君を~

「お前、そいつに近づき過ぎ。どさくさに紛れて、何触ってんだよ」


思い切り、ケイへ冷たい視線をぶつけている。

私の唇に触っていたところを見られていたみたいだ。


「ふふ、ごめんなさい。ユキって柔らかくて、つい」

「つい、じゃねーよ」


海里は視線で殺せそうな勢いでケイのことを見下ろしている。


「私、龍臣に用事があるから先に行くわね」

「あ……。ありがとう、ケイ」

「どういたしまして」


海里の視線を無視してメイク道具を手早く片づけたケイは、私へ微笑んでから颯爽と教室を出て行く。



ケイのクラスに海里と二人取り残され、沈黙が落ちた。


海里と目が合った途端、すぐに視線は窓の向こうへそらされる。

少しくらいメイクの感想を言ってくれてもいいのに。
海里の好みではなかったのかな。



「行くぞ、椿高に」

「うん……」


コートを羽織って廊下に出ると、理希と椎名君が待っていた。


「えっ、優希奈ちゃん? いつもと雰囲気違うね!」


隣に並んだ理希が私の顔を覗き込み、瞬きをする。


「ケイにメイクしてもらったの」

「そっか、それでかー。いつもより、さらに可愛いからびっくりした」

「普段とそこまで変わらないだろ」


淡々と海里は言う。

相変わらず、私の方は見てくれないけれど。
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