Snow Doll ~離れていても君を~
「貴方、佐々木冬里の弟でしょ。よく似ているから、すぐわかったわ。どのくらい強いのか、見てみたいな」
椿の姫のしなやかな手が伸ばされ、海里の胸元に届きそうになる。
私は思わず海里の黒いコートの裾を引き、椿の姫から遠ざけた。
「海里……」
緊張のせいか、知らず知らずのうちに瞳に涙が溜まっていく。
行かないで。
私のそばから離れないで。
切ない気持ちでいっぱいになり、彼のコートの裾を強く握りしめる。
「優希奈?」
驚いた様子で振り返る海里。
「貴方……桜花の姫のモノだったのね」
椿の姫は長い睫毛を伏せ、妖艶に溜め息をつく。
「俺は、如月龍臣以外に仕える気はない」
真っ直ぐな目で、きっぱりと海里が断った。
「そう……、残念」
うっすらと微笑んだ椿の姫は、艶やかな髪をさらりと流し仲間の元へ戻っていった。
近くで見守っていてくれたはずの春馬君とケイは、気を効かせたつもりなのか姿を消している。