Snow Doll ~離れていても君を~
「海里、一人でどこに行ったのかな。帰っちゃった?」
「まさか。優希奈さんを置いて帰らないでしょ」
戻ってくるのが遅いので、ケイと春馬君に付き添ってもらい探しに行くことにした。
人混みを避けつつ探し歩き、数分後。
ツリーの近くにいた海里が椿の姫と向かい合っているのが見えた。
姫の後方には護衛と見られる男が二人控えている。
「ねえ、うちに来ない? 椿は男子が少ないから歓迎するわ」
どうやら海里を引き抜こうとしているようだった。
彼女は海里のことが気に入った様子で、瞳が輝き熱を含んでいた。
海里のこと、そんな風に見つめないで欲しい。
黒い気持ちが心の中に充満する。
椿の姫が彼を気に入ってしまったら。
私に勝ち目はない。
誰だって、あんな美人に言い寄られたら悪い気はしないはず。
「あ。やばいよ優希奈さん」
春馬君が深刻そうに耳打ちする。
「あの人、かなりの肉食らしい。海里君を持ってかれないように、引き止めてきて?」
「ユキ、お願いね」
「え? ちょっと待って、」
二人に背中を押され、何の準備もなく、私は海里のそばへ行く羽目になった。