怨返し─赦されない私の罪─
二人とも顔面蒼白し、唖然としていた。あの時逃げてしまったことを深く後悔しながら。
「...おい。清都。ちょっとこっちこい。」
竜はパイプ椅子に座りながら清都に手招きをする。当然逆らえず、清都は竜の方へ近付くと、竜の拳が清都の頬を捉えた。
清都は吹っ飛ばされ、隣の患者の布団の柵に頭をぶつけた。その音で、他の患者も小さい悲鳴をあげた。
「ガッ...」
「清都...来希...お前ら次はねぇからな?来希、お前は殴らなくてもこんぐらいのこと分かるよなぁ?あぁ?」
「は.........は....い」
「じゃあさっさといけやボケ共!!これ以上京吾を困らせてんじゃねぇぞゴラァ!!」
竜の怒号は一瞬、部屋全体を震わせてしまったと錯覚させる程のものだった。二人とも恐怖に顔を歪ませながら、逃げるかのように病室を後にした。
二人が出ていくと、殺意すらありそうな竜の顔はフッと真顔になった。
「...清都はアホって分かってるがよ、来希のやつはどうなんだろうな。本気でそう思ってんのか、お前のことを怖がって気が付いてるけど気がついてない風にしてるのか....
イジメの肉体的な跡はそう消えない。お前達がノーマークになるには死体遺棄か警察が母親の虐待って言って幕を降ろさない限り、お前達はマークされてんのによ。」