怨返し─赦されない私の罪─
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「クソ!やっぱいねぇ!!ふざけんなよマジで!!」
薄暗い部屋の中で清都は暴言を吐き散らかしながら、古びたタンスを蹴った。老朽化もあり、タンスと上にあった花瓶類は派手な音を立てて壊れた。
それでも清都の怒りは収まらず、倒れたタンスを踏みつけて解体していく。
来希はそんな清都を見てため息を吐き、ドア近くの椅子に座り込んだ。まるで子供が遊具で遊んでいるのを退屈そうに待つ親のように、つまらなそうな顔して携帯をいじっていた。
そんな来希の姿を見て、清都の怒りはタンスから来希へと移った。
「てめぇ来希!!こんな一大事な時に何余裕ぶっこいてんだ!!チクられたら俺達終わりなんだぞ!!」
「....あぁそうだな。チクられたらな。
全く...こんな時間意味ねぇって。」
「あ?どういうことだ?ちゃんと分かるように説明しろやゴラァ!!」
吠えに吠える清都にウンザリ気味の来希は気だるそうにしながら、口を開いた。
「あのな。そもそもタンスに人がスタンバってるのがおかしいんだよ。裏口なんてないし、千澤と佐々木ちゃんがこんな場所に俺達がいるなんて知ってるわけねぇ。
このちょっと首回すだけで部屋全体を見える小さい小屋なんだぜ?」