怨返し─赦されない私の罪─
「でも実際いただろうが。それはお前も見てんだろうが。」
「そんなの錯覚だよ。暗闇に偶然目があるように見えて、地震が起きたならこんなボロ小屋なんてすぐに揺れる。そうすればあの意味不な現象も説明できる。
まぁ、偶然を認めないなら....幽霊でも見えてたんじゃねぇの?」
"幽霊"という単語に分かりやすく反応する清都は、少し顔を顰めた。
「お、おい。冗談でもよしてくれって。俺こういう系苦手って知ってんだろ?」
「...でも、これで分かったろ?あのタンスに人がいるなんて百パー有り得ない。だから、この時間も無意味なんだわ。さっさと帰ろう。」
来希はポケットの中から板状のガムを口に放り込み、くちゃくちゃと音を立てながら小屋を後にした。
清都は来希の行動、言動に納得したのかあからさまに悦び、嬉しそうに後をついてくる。
「そうだよな!あんな所に人とか....まず第一いるわけねぇもんな!!
分かってんなら早めに行ってくれよなぁ〜。俺、これで警察に捕まっちまうってばかり考えちまって...」
清都が嬉しそうな口調でそう言うと、来希の表情はストーンと暗くなり、足を止めた。
「....んなゎけねぇだろ...」
「ん?なんだって?来希?なんか言ったか?」