怨返し─赦されない私の罪─
「あ、あぁ。いや、別になんでもねぇよ。
俺、今日みたいテレビがあんだわ。時間も時間だし、俺今からダッシュで帰るわ。」
そう言われ、清都は携帯で時間を見ると時刻はもう八時を回っていた。その事を知り、ギョッとした表情に変わった。
「マジかよ...もうこんな時間かよ...こっから俺ん家までどんだけかかるっけ?....兄貴....今日夜勤...だったっけ?マジぃなこれ....」
「本当...お前の家って門限だけはうるせぇな。しかも高校二年生にもなって...」
「お、おう!俺もまじダッシュで帰るわ!ま、また明日な来希!京吾の言い訳はそれからにしようぜ!じゃあな!!!」
清都は来希の返事も聞かず一目散に走って帰っていく。そんな清都を見て、来希は力の抜けたように微笑して大きくため息を吐いた。
味が薄まってきたガムを道端に吐き捨て、新たにガムを食べ、耳元にイヤホンを付けて歩いていった。
激しい音響か耳を刺激してくれるが、来希の頭の中では清都と京吾の言葉が浮き上がって離れなかった。
....京、お前は俺達を見切るつもりか?俺達はお前にとって道具なのか?
お前は何の色もない真っ白な日常に色をつけてくれた。俺にとってお前は憧れすら感じてたってのに...
なのに、お前は俺達に警察がもう諦めたなんて...ほんの少し考えるだけ....いや、考えなくても分かるような嘘を...