怨返し─赦されない私の罪─
清都はアホだから引っかかるだろうが、お前は俺も引っかかると思ってたのか?それ程の馬鹿に俺は見えたのか?
冷たい風が皮膚を悲劇し、それと同時に心まで蝕んでいくような気がして、来希の気分はどんどん落ちていった。
「...俺はただじゃあ転ばねぇぞ京。お前が俺を見捨てるってんなら、俺はおまえを道ずれにしてやんよ....」
数十分後、来希は自分の自宅の前に着いた。
渡されている鍵を差し込み、玄関のドアを開ける。廊下は暗いが、突き当たりの部屋はガラス越しに明るいのは分かった。
廊下に電気を付け、突き当たりの部屋のすぐ横にある階段を登ろうとした時、突き当たりの部屋から一人の男が出てきた。
その男は来希の顔を見ると驚いた表情を見せた。
その男と来希は面識などない。初対面だった。だが、この家にいる以上それは普通のことだった。
「なぁ純ちゃ〜ん。この子が来希って子かい?」
来希は小さくため息を吐いて、何も無かったかのように二階へ上がり、自分の部屋のベットに横になる。
来希の親は来希が小学生の頃に離婚していた。原因は母親の浮気。しかも、結婚してから一年後からずっと浮気をし続け、何人もの男と交際していた。
母親は父親との結婚に不満しか抱いていなかった。いい男が話しかけてきてくれてるのに、応えられないのが苦痛という最低の理由で。