怨返し─赦されない私の罪─

離婚してからの母親はまるで子供がいないかのように、家に遠慮なく男を連れては朝まで楽しく過ごしているのが月の半分は占めていた。仕事も夜中の水商売、母親は自分の身体で生活をしているのと同じようなもので、実際母親は満足していた。


だが、来希にとっては嫌でしか無かった。父親は母親の事を完全に忘れたかった理由で、来希を引き取らなかった。何故、あの時もっと父親に引き取って欲しいと言えなかったのかが、今になっても後悔していた。

家は次第に飯と寝る場所という認識に変わっていき、何も刺激のない日常は段々色が落ちていく。
そんな中、京吾と出会い遊びを教わった。母親と同じになりたくない一心で触れようとも思わなかった、自由な遊び。


来希は心から楽しんでしまった。自分が拒絶していた母親と同じステージに立ってしまったのだ。後悔や嫌悪を感じたが、来希は開き直って遊びを続けた。今まで耐えてきたんだから、これはご褒美と自分に言い聞かせた。それ程、来希にとっては衝撃的な出来事だったのだ。


だが、自分を変えてくれた憧れの存在から手を切られようとしている。来希は今までのツケがきたのだと、母親にならないと誓ったのを破った報いがきたのだと感じていた。


京...お前には本当に感謝しているんだ。感謝しているんだが....切り捨てられるのは許せねぇ。
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