怨返し─赦されない私の罪─

え?え?な、何が?な、なんで章太が...は?マジで....?な、なんなんなんだ?



息を荒くし、思考の整理がすまなかった。心臓を掴まれているように胸が苦しくなり、今すぐにでも発狂しそうな程の恐怖が来希を襲った。

来希は恐る恐る、投げ捨てたスマホの画面を覗いた。画面には何も無かったかのようにいつも通りの動画が流れていた。
来希は震える手でスマホの電源ボタンを押し、静寂が包んだ。だが、そのせいで来希の心拍状態が更に高くなる。

静かだからこそ訪れる恐怖、音に敏感になり、今にでも耳元で画面に出てきた章太に囁かれると思うとゾクッとする。


「な、なんなんだよ...なんなんだよ!!夕方のやつといい....一体...一体なにが」


来希の声を遮ったのは音、窓ガラスに小石がぶつかった音。本当に小さい音だったが、来希を黙らせるのは十分過ぎた。
窓ガラスはカーテンに遮られているので、実際小石が当たったかどうか分からなかった。

本来ならここでは動けない。こんな状況下の中で、今自分が目に見えない外の世界を見るのはどう見ても危険だ。
だが、来希は窓ガラスまでゆっくりと足を進ませる。頭では危険ということは理解していた。

だが、何故か身体が足を進めるのを辞めない。もしかしたら、稀だが清都が窓ガラスに小石をぶつけて呼ぶことがある可能性を、捨てられなかったのが肉体が反応したからなのか、来希は分からなかった。
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