怨返し─赦されない私の罪─

「私は....もう逃げません!あなたにも、章太君にも!もう逃げて後悔することはしたくない!千澤さんを...私の友達を傷付けることは絶対にさせません!!
だから、やめてください!私はあなたをここで」


享吾との距離が近付いた途端、享吾は持っていた金槌を瞬時に振り上げ、裕子の頭を目がけてふり下げた。


ゴチュ!


肉が潰れ、骨が砕ける音が裕子の脳内に響き渡る。
裕子は瞬時に頭を下げてしまった事を理解出来ず、黒目をプルプルと動かして動揺していた。

額から流れる血を片手で受け、ようやく自分が金槌で殴られたのだと理解する。殴られたところが熱くなっていき、熱湯のような血液がダラダラと傷口から零れていく。

すると、今度はいきなり視界が暗闇になる。暗闇の中で自分の身体が宙を舞っている事を感じ、地面に倒れた。
そこから二発、三発と頭に衝撃が走る。鈍い音が聞こえながら、裕子の意識はだんだんと暗い深層まで落ちていった。




顔面はグチャグチャに潰され、仰向けで倒れている裕子に享吾は返り血を拭いながら冷たい目線を浴びせた。


「警告したよな。うん、警告した。もしかして殺されないと思って、俺を止めようとしたのか?この馬鹿は。
こんな堂々と殺したのは初めてだが...変わんねぇ。うん、全く変わんねぇ。あのババア殺した時と全くもって変わらねぇな。」
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