怨返し─赦されない私の罪─


自分の顔が映るくらい綺麗な赤色の小さい水溜まりができていた。依奈は震えながらゆっくりと目線を上げると、そこにはあの目玉がこちらを上からジッと見ていた。
目を見開き、眼孔が大きく開いていた。


「キャァァァァァァァァ!!」


依奈は後ろに飛び、部屋の中心へと戻された。
ドアはゆっくりと閉まり完璧に閉まった瞬間、本棚とタンスのようにガタガタ動き始めた。ドンドンと叩く音、ガチャガチャとドアノブが激しい音が鳴り響く。

依奈はたまらず、ベットの布団の中に身を隠した。息を荒らして、恐怖に怯えた。


その音は数分してなりやんだ。だが、依奈は布団の中から出ようとはしなかった。
出た瞬間、またあの音が鳴るかもしれない、もしかしたらすぐ目の前に立っているかもしれない。

そんな予想が依奈の行動力を縛っていく。
結局依奈は朝まで怯えて寝ることすら出来ず、布団の中にいた。
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