キミに伝えたい言葉がある
「ふざけてないよ。私は真面目に言っているの」
「じゃあ、」
「だってもう!」
俺の言葉を遮って莉桜菜は叫んだ。
「だってもう・・・私に、時間は残されていないんだよ・・・」
消えていきそうなくらいに小さな声だった。
グッと胸が締め付けられる。
「みんなに反対されたよ・・・無謀だって、死にたいのかって。でも、私はもう死ぬことが決まっていて、本当に時間がないの・・・だったら、最後、最後は自分の好きなことやりたいことをして死にたいの・・・」
「っ、まだ、死ぬことが決まってないだろ」
「決まっているよ。自分の体だもん、あとどのくらいもつかなんて分かっているつもり・・・最終的にはみんな納得してくれたよ。私の最初で最後の我が儘・・・真司君を巻き込んでごめんなさい・・・でも、お願い」
俺は、莉桜菜の親はどこにいるんだろうと気になった。
どこかに行っているなら早く帰ってきて、莉桜菜を説得してくれないだろうか。
これ以上、俺は、拒み続けられない。
「莉桜菜、俺は・・・」
「お願い・・・一生の最後の、お願いなの」
両手を合わせて、莉桜菜に懇願された。
嫌だ、無理だ。お願いだからそんなこと言わないでくれ。
そう言いたいのに、俺の口は言葉を紡いではくれなかった。
だって、分かっていたから。
心の片隅では、莉桜菜を拒絶することは出来ないと言うこと。
そして、この機会を逃してしまったら、俺は絶対に後悔してしまうということを。