君影草は誠を乞う
「あーもう‼︎
なんでこんなに寒い日の真夜中に
巡回の仕事があるかな‼︎」
丑の刻が過ぎ皆寝静まった頃、
一月に差し掛かり、
肌を刺すようなひどい寒さの中、
浅葱色の羽織をはおった男は
腕をくみ、
寒さに耐えるように身を前に傾けて言い放った。
「うるさいぞ、総司。
これも仕事だ。我慢しろ。」
「相変わらず。
生真面目だよね〜、一くん。」
「おまえが、不真面目なだけだと思うが。」
「ふぁ〜…え〜 、そうかな?」
「そうだ。」
総司と呼ばれた男は一つ
大きなあくびをした後、
少し気だるげに反論をするが、
その反論は、一くんと呼ばれた男によって
バサリと切り捨てられる。
町は寝静まり人の気配はない。しかし、浅葱色の羽織を羽織り男たちは辺りに警戒しつつ巡回を行った。