君影草は誠を乞う

私はこれからどうしていけばいいのだろう。
また振り出しに戻ってしまった。

……あの時のように。

ーッブル


一瞬で体中に寒気がはしる。

「…はっ、未だに引きずっているのか。


……クソ。」

自分を嘲笑した後、
吐き捨てるように悪態をはく。

すると辺りが柔らかな光に包まれる。

朝日が昇っていく。
いつの間にか、夜が明けていたのだ。

朝日をここまでじっくり拝んだのは、
いつぶりだろうか。

「……綺麗…だな。」

自然と溢れた言葉が、
誰もいない真っ白な世界に
溶けるように消えていく。

「_…よし!」

私は自分の頰を両手で強く叩き
自分に喝を入れる。
ヒリヒリと少し痛む頰が、
後ろ向きな想いを飲み込んでいく。

「大丈夫。」

そう自分に言い聞かせて
朝を迎えた町へと、
足を進めていくのであった。
< 22 / 74 >

この作品をシェア

pagetop