今宵、私は貴方を困らせます
思春期を迎えた私たちは恋愛と言うものに興味を持ち始めた。

そして私はふと、「ねえ省吾、もし、私に彼氏とか出来たら貴方はどうなるの?」なんて聞いてしまった。

そしたら真面目な顔して、

「俺か?消えるよ。俺が生きているのは、キミのおかげなんだから。キミの血が俺を生かしている。キミに守るべきものが出来たら俺の役目は終了だ」なんて答える。

…嘘、消える…

…どーゆうこと?もう会えなくなるってこと?

…そんなの、絶対に耐えられないわ。

私のそんな心の声を読んだ省吾は穏やかに笑う。

「何よ?笑わないでよ!」と私は怒ってみるが、省吾は優しく私の頭を撫でただけだった。

「大丈夫だよ。消えると言っても、命が無くなるわけじゃない。キミの見えない世界に存在する」と省吾は言った。

私にはその意味はわからず、首をかしげた。

その直後、私は異変を感じた。

それは省吾も同じようで、「人間のにおいがする」と言ったことで確証を得た。

辺りを見渡すと一人の男の子がいた。

明らかに様子がおかしい。

「あの~ここはどこですか?」と男の子は言って私たちの方に近づいてきた。

「どうして貴方はここにいるの?」と私が言うと、

「わからないんです。気づいたらここに…」と男の子は言う。

わからない??どーゆうことだ?

「ここは一般の人間が来れるような場所じゃないのよ、貴方、何者なの?」と私が言うと、

「ごく普通の高校生ですよ」とにっこり返された。

そんなはずはない…私が疑ってると、

省吾が、「召喚されたんだろう。ここに長居すれば確実に命は喰われてこの世から消える」と言った。

この言葉の意味は『死』を意味するものだ。

ふと、そこに邪悪なオーラと共に重苦しい空気が流れ、一人の人物が現れた。

『ソイツは…俺の獲物だ…』と叫ぶように言うこの男は通称RB、妖怪様だ。

「ふざけるな!お前が何故人間を召喚する?この人が何をして、お前に喰う資格があるんだ!」思わず私はそう返した。

『…フフフ、愚かな人間どもめ。その命を差し出し俺の一部となれ…』とRBは言う。

正直に言うと、RBもおかしい。

RBは元々人間と共存して生きてきた。生け贄にするために召喚などするようなやつじゃない。

もしかしたら、スゴく強い妖力に彼自身が操られているのかも知れない。

とにかくこのままでは男の子の命が危ない。

私は手をかざし扉を出した。

「貴方を元の世界に戻します。早くこの扉を抜けて」と私は叫び、彼にドアを抜けさせた。

そしてそのドアを封じるように私はもう一度手をかざし扉を消した。

改めてRBと話をしようとしたのだが…

私が手を触れていないのにRBは苦しみ始めた。

『助けてくれ…』声にならないRBの声が私の耳に届く。

彼を取り逃がしたと妖力がRBを苦しめているのかもしれない。

私はRBに近づいた。そして妖力を引っ張ってみた。

といっても、ヴァンパイアの省吾には見えるわけもなく、私の力で、RBにかかる負荷を抑え込んでいる。
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