perverse
13 遭遇
その日は突然訪れた

宙さんのマンションの引き渡しが終わり、私達は恋愛を楽しむよりも宙さんの新居の準備で忙しかった

1日でも早く入居したい宙さん

彼は仕事が忙しく、休日は私と家具や電化製品を選ぶだけで精一杯

平日の彼の空き時間を待っていたら、引き渡しすぐには間に合いそうにないので、私は有給を取って手伝うことに

彼のお母さんが手伝う案も浮上したが、彼女の動線で翔一家に知られるリスクを心配している宙さんと1日でも早く宙さんに安らぎの場を与えたいという私。

たぶん婚約者の私は、平日の今日エアコンの工事に立ち会っている

エアコン工事完了

これさえ終われば、宙さんも住むことができる

スマホのバイブが震え、画面には『星野お母さん』の文字

「はい佐藤です」
『あっ美波ちゃん?終わった?』
「はい、先ほど」
『じゃあ、今から車でそちらに向かうわ。着いたら連絡する』
「わかりました」

と電話を切る。この後、お母さんとキッチン周りの買い物に一緒に行く事になっている


電話から20分後にお母さんは到着

「先に部屋を見ていきますか?」
『遅くなるから先にいきましょう』

向かったのは、大型ショッピングモール

キッチン周りの物を、ポイポイカゴに入れているお母さん

「スゴイ量ですね」

カゴ4ツ。量をみれば、一人で買い物するにはしんどい量。食器とかは引き出物があるので買わなかったけど、それでも多い。付き合ってくれたお母さんに感謝

お金を払おうと財布を出そうとする私を引き止め、お母さんが全額出してくれる。

「えっ、いいんですか?宙さんからお金を預かっていますが」
『いいのよ、これぐらい。宙は二人で住むからって私を入れさせないのよ。本当に美波ちゃんにばかりお世話になって。こちらこそありがとう』

微笑むお母さん。なんか照れてしまう

後は、食材と調味料の買い物で終わりなんだけど、二人とも少し疲れたのでフードコートで休憩することにした

私はハンバーガーセット、お母さんはうどんを注文

二人で何気ない話をして盛り上がっている

そこに子連れの女性が近づいてきた
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