perverse
午後6時30分

『ただいま』と宙さんが帰ってきた

その声を聞いて「おかえりなさい」と玄関まで出迎える

カバンを足元に置き、宙さんは私を抱きしめる

照れる・・・

新婚家庭というものは、こんなものなのか?

心臓がドキドキしている私

これが毎日だったら、心臓がもたない・・・てなんて思いながら顔を上に上げると

チュッと軽く唇にキスをした宙さん。微笑む姿が眩しい

こんなことを思う私、絶対この恋愛熱に侵されている

食卓に向かい合わせで座り、夕食をとる

『今日は工事に立ち会ってくれてありがとう。助かった』
「エアコンさえあれば、もう安心して住めますよね」

感謝されて嬉しい

『美波さ……今日泊まってく?』
「着替えがないし、明日仕事だから」
『ココからの方が会社に近いし、着替えも今から車を出すから取りに行こうよ』

またまた強引なんだから……なんて思っていると

『最初の夜だから、記念に一緒にいたい。何もしないから』

『ナニモシナイカラ』

前に聞いたことのあるセリフ

そういえば、あの時はちゃんと約束を守ってくれたっけ

意外と律儀なのかも

今日は抱かれてイイかも、と思っている私

性欲?

それもあるかもしれない。でも、私のスイッチを押したのはあの女

翔の妻

今日、その姿を見て思った

私は、あの人より何が劣っていたの?

正直、見た目では負けているとは思えない

性格?

あの強引さを見ていると、絶対ナイと思う
< 118 / 294 >

この作品をシェア

pagetop