perverse
私の中でいろんな感情が渦巻いている

それがストレスになって、発散したいと思っているのか?

それが、宙さんとの初夜?

でも、そんな思いで抱かれたら彼を傷つけるかも?

いろんな思いが交錯していた私の表情を、宙さんが見つめていたようで

『どうしたの?』

って不思議そうな顔で尋ねる

「実は今日、あの人と遭遇しまして」

この話を持ち出したの後悔したけど、宙さんはそんな私に対して

『母さんからメールきた。キチ子に会ったって。キチガイだっただろ?』
「キチ子って………」

あまりにもピッタリなあだ名で、フフフ……って笑い出してしまう

『美波、どうだった?』

うわー、また確信的な質問。今、答えにくいよね

戸惑っている私を見て、宙さんは席を立ち上がり私の所にやってきて、手を取りソファーに行くように促す

リビングのソファーで私は隣に座っている宙さんに抱きしめられている

ドクドクって宙さんの心臓の音が聴こえるのが心地良く彼の身体に包まれている私が守られているっていう安心を実感している

『美波、本心を話してごらん。全部受け止めてあげるから』

頭上から囁かれる宙さんの声。いつも思うけど、リアルタイムに私の気持ちがわかるように声をかけてくれて本当にありがたいと思う

これは、翔との過去も包み込んでくれるってこと?

たぶん彼は相当、私に気を使っているに違いない

いや、絶対使っている

もし、私と結婚するという現実がすぐそこにあるのなら、図々しい話だけど受け止めてもらわないと一緒に生活なんてできない

結婚した後でこの件で嫌われるのなら、今の方が傷跡も浅いし、リスクも少ない


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