perverse
宙さん、疲れてる?って思うのは気のせい?表情の隙間に疲労感が見える

「しょくじ」
と言いかけた時、ふんわりと抱きしめられ

『美波、注入中……』
って耳元で囁かれる。

宙さんの胸に埋めた顔を上げると、疲れた宙さんの儚い笑顔

何かあったの?仕事で、例えば患者さんが亡くなったとか?

でも彼の担当は整形外科。骨折で人が死ぬとか思えない

「お疲れですか?」
『少しね……』
って言った後、唇を押し当ててくる

「っうっ………」

吐息が漏れるとともに、久しぶりの感じる唇の感触。会えなかったのは数日なのに、とても長い時間に思えるのは、それだけ彼に対する思いが強くなっているから?

この前、身体を重ね合わせたから?それはあるかもしれない。たぶん翔より身体の相性は良いと思う。絶対本人には言わないけど

たぶん好きから、絶対好きになっている。

唇が離れ、その先に進むの?……って期待?イヤ普通に思っていたら、宙さんがニヤリと笑い

『汗かいたからシャワーを浴びてくる』

って言って、バスルームに向かった。

その後、食事だよね……と自分なりの段取りを考え、冷蔵庫に入れてあった冷麺たちをテーブルに並べる。

彼を待つ間、ソファーでくつろぐか……って思っていたら、カチャってバスルームのドアが開く音が耳に入る

「早っ!」

私はソファーに行くのを断念し、冷蔵庫を開けてビールを取り出す
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