perverse
15 挨拶
夕方6時、仕事が終わり宙さんの新居に向かう。今日は金曜日。お泊りの予定。

『晩ご飯何しよう』

駅前にあるスーパーに寄り、ササってできるメニューの材料を買い、宙さんの新居のマンションに到着。

インターフォンは鳴らさずに、合鍵で入る。昨日は当直だった彼。もしかしたら寝ているかもしれないし………

玄関には男物の靴があるので帰っているはず。でも部屋の電気はついていない

リビングにも姿はない。そぉっと寝室のドアを開けるとヒヤッと冷気が漂う部屋にスヤスヤ眠っている姿を発見

ベッドに腰を掛け、寝顔を眺める

『起きるかな?』
って思ったけど、ちょっと顔を揺らしただけて眠り続けている。疲れているのだろう。私は部屋を出てリビングに向かう。

まだ起きそうにないので溜まっている洗濯をし、軽く掃除をする。夕食は冷麺とサラダ。夏の暑さで食欲がない私の手抜きメニュー。15分ぐらいで出来上がってしまったので、冷蔵庫に冷やし、シャワーに向かう。

シャワーから出ると、リビングのソファーに宙さんが座っていた

『お帰り』
と笑顔で言うけど、シャワーから出てきた私にかける言葉?
疑問に思う。それにつられて

「ただいま」
って返答してしまう。あっ、そうかこれは【家族】の言葉か。

家族だったら、当たり前の言葉

『愛おしい』って思ってしまう。あーこれが幸せんだって思いながら、頬に唇を落とす

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