perverse
17 闘い
彼に手を掴まれて来た1階のリビング。夕食はできあがっているようだ。
ソファーには翔一家。その対面にいるのはお父さん。新聞を読んでいる。お母さんはテーブルに食事を運んでいた。

嫁は思った通り、お客様気分で手伝う様子なしなので、私が手伝いに行こうとすると宙さんに引き止められた。

『母さん』

お母さんに目配せし、呼ぶ宙さん。お母さんは手を止めてお父さんの横に座った。

「はるかくーん、その女誰?」

って初対面………あっ二度目なのに、失礼な発言。普通はそんな事を言わないよね
チラッと翔の方を見ると、目が合った。違うこれは凝視?睨んでいるようにも見える
宙さんは嫁の発言を無視し、話を始めた

「婚約者の佐藤美波さんです」
「よろしくお願いします」
って言い、ペコッと頭を下げる

パチパチぱちと拍手の音が聞こえ頭を上げる。拍手をしているのは両親とそれにつられて肥満の孫がしているだけで、翔夫婦は全くしてなかった。翔はブスッとした表情で機嫌が悪そう

「宙くーん。一生独身じゃなかったの?」

はいっ、今、何言いました?横にいる宙さんをチラッて見ると無視したように普通の表情

「うちの次生まれる子を宙くんに養子であげるって、約束したじゃない」

私固まる。話がどこに言っているかわからない。っていうか、誰がお前の子をいるんだ?って言い返したくなった

「宙だって選ぶ権利あるわよね」

お母さんが真顔で嫌味を言うからスゴイ

「お母さん、何言っているんですかぁ?望愛だってぇ、めっちゃカワイイじゃないですかぁー」

私はひたすら傍観者になるしかなかい

「これが?こんな肥満の子がカワイイわけないじゃない。相撲部屋でも行くの?お金貰ったっていらないわよねー。宙」

お母さん、その言葉をキツすぎます。正真正銘、あなたの孫ですよ

『絶対いらない。俺と美波の子供の方が賢くて可愛いはずだから』

うゎー、宙さんもキツすぎ
チラッと翔の方を見ると、ウンウンって頷いている
星野家、こんな家族だったっけ?
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