perverse
翔は去り嫁は追いかける
取り残された私達。『ズズッー』と味噌汁をすする音だけが響いている
あたりを見渡すと、母に置いて行かれた娘が立ち上がってヨチヨチ歩きをしていたので、私が近寄ると『エヘヘ』って笑ってくれた。
遠くで見るとお相撲さんのように見えたけど、近くでみると目は翔に似ている。正真正銘『翔の子』だと実感
あの二人に今日の様子を見て愛があるのかは疑問だが、夫婦としてやる事はやっているんだなと改めて認識
例え私が元カノとはいえこの夫婦の仲にとって入る訳にはいかないし、たぶん…別れることはないと思う
この子がいるという事は翔と嫁が結婚したのは運命そう思うしかない

食事が終わりお母様がコーヒーを入れようと立ち上がる
「母さん、もういい。アイツらがいない間に帰るよ」
「そうね。そのほうが安全かも」
安全?何が?
今、聞きたいけど、宙さんは立ち上がり玄関に向かっている。私はそれを追いかけた。翔夫婦に挨拶もせず家を出る。そして玄関で、お父さんとお母さんに挨拶をしてさっさと実家を後に

運転する宙さん。左手で私の右手を握る
「どうだった?」
「クレイジーでしたね」
って言う私。翔には同情するけど、あの嫁には関わりたくないと思うのはいけないことだろうか?

「翔はまだ美波に思いがあるみたいだな」
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