perverse
『アイツがすべて言っていることは狂言だから気にするな』
リビングに向かう宙さん
狂言、彼女に相応しい言葉
私達の関係が正当なものならば彼女が言っていることはそれに当てはまる
宙さんの後をついてリビングに入る

彼女が宙さんに抱きついていた

「帰ってくるの遅かったじゃない」
彼の唇にキスをする

私はリビングのドアを持ったまま固まってしまう
振り払う宙さん
顔は怒りに満ちている

「宙、酷い」
『その言葉はお返ししますよ。町田先生』
「何を言っているに。私達は結婚するの」
泣き叫びながら彼女は言う

『町田先生がご結婚されるのは谷口先生ですよね。人違いされているんじゃないですか?』
「宙を説得する事ができるなら、宙と結婚していいってお父様が言ったの。私を助けて」
縋るように彼の腕にしがみつくが振り払われる
「自分が何を言っているのかわかってますか?何度も言っていますが私には婚約者がいます。あなたが入る隙はないんですよ」
彼女は私をキッと睨み
「こんな女ふさわしくない」
『貴方に婚約者のことをとやかく言われる筋合いはありません』
「私達はただの関係じゃないじゃない」
『何年前のことを言っているんですか?』
「5年は経っているけど、私は今でも宙のことが好きなの」
って言いながら宙さんに抱きつく。目には涙が流れていた
もしかしてこの人は本当に宙さんのことが好きなんだとも思ったけど、最後が5年も前なのに、結婚を迫るなんて
痛い人だなと思ってしまう
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