perverse

「弟と交際していたことは偶然でしかも学生時代のこと。学生の頃の交際に罪滅ぼしなんてありえない」
私との関係を丁寧に説明。詳細がわからない相手に大袈裟な表現は否めないけど、相手が強者だからしょうがないのか
そんな宙さんの話に院長は相づちを打っている。さすがに今の段階では反論できないよね

「彼女と弟が別れたのは6年も前ですし弟も今はご承知の通り結婚し家庭を築いています。弟と別れてからは音信不通でしたが、半年前に奇跡的に再会したのです」

私と翔が別れたのは4年前なのに数字をサバ読んでいる。再会したのも1ケ月前。相手に隙を見せないように必死で計算しながら説明している姿が愛おしく見えた

『再会した時は運命みたいなものを感じ交際を申し込み今に至りましたす。申し訳ないないですが町田先生が入り込む隙はありません』

院長の目を真っ直ぐ見ながら本心を言う
嘘偽りはないように思える

「先生の言っていることはわかった。ただ真理がどうしても星野くんだと引かないんだよ。何とかならないかね？」

何を言っているの？娘の我儘を通すために、宙さんに丸投げ？
ありえない

『私は真理さんと結婚したくありません。彼女と一緒になっても我儘ばかりで私が幸せになれないのは目に見えています』

その言葉を聞いて彼女の目はウルウル涙で潤み

「絶対我儘を言わないから。だか一緒になって」
『申し訳ないけどそれはできない。この段階で貴方は自分の欲求を通すことばかりで、何一つ私に対しての気遣いがないことはわかっていますか？』

真剣に彼女の方に眼差しを向けしっかり目を直視しながら言っているけど、彼女は目を反らしてしまう
返事はない

『結婚とは紙上のことだけではなく寝食を共にし日々の生活があります。相手を気遣い敬う気持ちがない限り続けることは困難です』

彼女は現実を突きつけられ固まっているが、その隣の田中先生はウンウンって頷いている

『仕事上でも考えて下さい。町田先生も私も同じ大学の医局に所属しています。そして、貴方の婚約者の谷口先生も。もし、私がこの結婚を決めたとしましょう。これがどういうことか貴方はわかりますか？』