perverse

もう一度頭を下げる
完璧な親バカで、さすがに自分の娘の馬鹿さ加減には耐えられなかったのだろう
さっき縁談って院長が言ったよね。こんなビッチな彼女でも結婚してくれる人がいるんだ
驚いたけど何といっても院長の娘。さっき言った通り多額の結納金を貰って院長の席も用意してくれる
それが必要なら愛はいらないか
彼女には申し訳ないけど宙さんはそれを望んでいなかっただけ
でも宙さんこれはある意味チャンスだよ。このチャンスを掴むバトンを手放して私を選んでいいの？
私はそれに値する女？
私は彼について行っていいの？
もしかしたら、私は彼に取って貧乏神みたいな存在なのかもしれない

相変わらずのネガティブな癖が出たようで、一人落ち込む私
愛はともかくとして仕事人としての出世を邪魔する私
こんな力のない私を攻撃するかのようの

「宙は優秀な医者なのよ。こんなオンナと結婚したって養うだけのただの勤務医で終わるだけなのに。貴方は宙の将来を潰すの？」

今度は私が固まる
現実は彼女の言っている事が正解なのかもしれない
彼女の縁談の相手はビッチな彼女とでも結婚できるのだ。それは自分が権威を得るために
医者の世界は私が知らないだけで、一般人とは違うのかもしれない
不安になる

『町田先生それは私が決めた事で美波は関係ありません』

宙さんの事を思って？言ってくれているのに、その当人に否定された彼女は怒りをあらわにしている

「その女に騙されているのよ。貴方はもっと上に行ける人。私と結婚したら教授にもなれるわよ」
『町田先生、そう言って頂けるのは有り難いですが自分の力量はわかっています』

彼女は自分の思い通りにならないのが気に入らないらしく、唇を噛み締める

『医師としてはまだ若輩者。沢山の経験を積んで一人前の整形外科医として精進するつもりなので町田先生が言っている道には進む訳には行きません』

宙さんは真直ぐ彼女を見つめた
これが彼の本心