perverse
宙さんの本心を聞き院長は
「星野先生の気持ちはわかった。真理にはの縁談を進める。本当に迷惑をかけて申し訳なかった」
と頭を下げる
宙さんと田中先生がアイコンタクトをしている

「お互いに話は終わったようですので、そろそろお開きということでよろしいでしょうか?」
この話し合いで初めて田中先生が口を開く
第三者の彼はこの為だけにココにいたのだろうか?私には、笑いを堪えている彼しか思い浮かばない

「ああ、そうだな」

院長はそう言いながら、ソファーから立ち上がる。隣にいる彼女は不服そうな顔をしている

でも、何も語らない彼女。観念したのだろうか?
二人と田中先生は帰り支度をして玄関に向かう
帰り際院長は私に向かい

「騒がせして申し訳なかった。これで娘も星野先生の事は諦めるだろう。君達の結婚式を楽しみにしているよ」

頭を下げ玄関を出る
彼女は唇を噛み締め私を睨む
私はこの人に一生恨まれるんだろうな
一瞬、そんな不安がよぎる

宙さんは下のエントランスまで送りに行ったので玄関に一人取り残される
全身の力が抜けたのかペタンと床に崩れ落ちた
この2時間あまり
疲れた気持ちとともに私の知らない真実を目の前に突きつけられ込み上げてくるなんとも言えない感情
泣きたいとは思わない
でも自然と涙が目から溢れる
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