perverse
数分が経過して宙さんが戻る
玄関のドアを開けると私がしゃがみこみ項垂れている姿を見て驚いた

『大丈夫か?』

私の所に来て抱きしめる

「大丈夫。疲れたみたい」

涙のせいで鼻声になっている。宙さんを振り払いヨタつきながら立ち上がる
力が入らない足取りでリビングに向かう
宙さんは心配そうに見守るように後ろを歩く
さっきまでの彼女の攻撃を私は他人事のように見ていたけど、現実に戻ると私の心に鋭い傷跡が残る
ダメージ度が半端ない
リビングにやっとたどり着き崩れるようにソファーに座る
涙が止まらない
私は泣いている顔を隠すようにうずくまってしまった

『ごめん。あんな場面を見せてしまって。怖かったよな」

宙さんは私の隣に座り軽く私の肩を抱きながら言う
私は「違うよ」って声に出したかったけど鼻水が邪魔をして言うのが難しそうだったので首を横に振る

『俺は美波との結婚しか考えていない。以前にも行ったがが結婚してくれなかったら一生独身でいるつもりだ。』

宙さんの言葉にピクッって反応はできたけど顔を上に上がることはできない。でもその言葉は嬉しい
私は取りあえずウンウンって頷いた
『だから町田先生と結婚するなんて思わないし何度も断っている』

私は、はっきり彼女との結婚を否定してくれたので、少し気持ちが落ち着いた
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