perverse
21
その夜はあまりにも疲れてしまい食事を取ることもなく眠ってしまう
宙さんは言い訳することもなく、ただこんな私を見守るだけだった

翌朝
いつもと変わらない朝だけど、ひとつ違うのは涙が止まらなかった私の目が腫れていたこと
『今日はコンタクトレンズじゃなく眼鏡で会社に行こう』なんて思いながら朝食の準備をする

宙さんは昨日も遅かったのだろうか
昨日私が寝てからもたぶん遅くまで何かをしていたようでまだ眠っている
いつもだったら寝顔を見に行ったり私から抱きしめたりするのに、今日はその気が失せている
たぶん昨日の彼女の行為とか言動が私の心に影を落としている
ただ、いつまでもそれを引きずっていてはいけない
普通にしなければ
朝食の準備が終わり彼を起こしに行く
「宙さん朝です」
ポンポンと彼の肩を叩くと『うーん』と唸る

時間もあるので宙さんを観察
長い睫毛、鼻筋の通った鼻。イケメンだよね
32歳で、医者、性格も悪くない。むしろ良いかも。なんて考えると、普通の人から見ても優良物件だと思う
町田先生が宙さんに異様に固執しているように、医者の世界でも彼は有料物件なのか?
疑問に思う

そういえば宙さんも彼女とは肉体関係があるって、院長が言ってたよな
目がいってしまうのは唇
この唇で彼女ともキスをしていると思うと、すごく悲しくなってしまう

昨日の出来事というより彼女を消し去りたい
と思っていたら宙さんが起きた
『おはよ。美波』
爽やかな笑顔で私の手を握り、手の甲にキスをする
「おはようございます。朝食できてますよ」
『ありがとう。大丈夫?』

軽く私を抱きしめ
『昨日はごめん』
「気にしていません」
なんて答えるけど気にしています
大人気ない
それを出してはいけないと自分に言い聞かせリビングに向かう

二人で朝食を取っているけど二人とも無言
いつもと様子が違うのは私だけじゃない
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