perverse

食事中もほとんど会話はなく、その後はそれぞれの準備
駅まで徒歩で向かっている時
『今日当直だから家に帰れない』
「そうですか。わかりました」
必要事項、業務連絡のような会話
味気ない

『今日はどっちの家に帰る？昨日みたいな事があったからこっちも安全とはいえない』

そうですよね。今日も彼女が宙さん不在の中私個人をを攻撃してくる可能性がある
あの人ならやりかねない
「大丈夫です。今日は実家に帰ります」

笑顔を作りながら言った。宙さんは、心配する表情はしているもののそれ以上の解決策は何も言わない
いつもなら過保護ぐらいに心配するのに

その後は多少のたわいのない会話もあったが、二人の間にはいつもとは違う空気が漂っている
もし彼女の狙いがコレだったら、すごく怖い
ないとは思いたいけど、賢い人なので可能性がゼロではないから心置きない
本当に疑い深くなった

数ケ月前まではこうではなかったのに
4年前の真実を知ってから疑うという感情が湧き出てきた
私の中の汚い感情

私達はそれぞれの職場に向う
別れ方もいつもと変わらない
でもこのモヤモヤ感が不安を誘う

就業が始まり仕事に没頭。没頭すると何も考えなくていいから心穏やか
ストレス発散に沙奈に付き合ってもらおうと思ったけど用事があるからと断られた。

仕事が終わって用もなく実家に帰る
実家がある駅に到着し、夕食の材料でも買って帰ろうと思っていたら
背後から
「美波」
という声が聞こえる
数日前も同じシュチエーショで出てきたアイツ。振り返らなくても誰だかわかる
「何。私、アンタに用はないんだけど」

前回は義姉として丁寧な言葉で接したけど今日は機嫌が悪い
翔の顔なんて見たくない
昨日の事だって翔が一枚噛んでいると思うと無性に腹が立つ
「この前と全然態度が違うぞ。メッキが剥がれたか？」
「何がメッキよ。誰のせいでこんなに機嫌が悪いかわかってるの？」
背後にいる翔が私の眼の前にやってきて、私の足を止める
「もしかして俺？」