perverse
「翔には借りが作れないの。だから受け取って」
財布から出した200円を無理矢理押し付ける
「相変わらず律儀なだね」
といい受け取る
「本題。宙さんのずっとって何?」
「気づかなかったの?」
「何を」
「俺と付き合っていた時から兄ちゃん美波に気があったってこと」
「そんなことない。彼女だっていたし」
「美波、覚えてないの?」
「全然」
昔から優しくしてくれたことはあったけど、それが私に気があるに直接結びつきとは到底思えない
「俺と付き合ってからすぐ家に来たよな。あの時からずっと兄ちゃんは美波に気があったんだ」
「知らなかった」
「兄ちゃんスゴく美波に執着していて俺の部屋で美波とヤッテいる時、聞き耳立てて聞いてるんだよ」
それって変態じゃない。宙さん、そんな趣味があったなんて。本当だったら幻滅
「作り話はダメよ。アンタは私の中で信用ないんだから」
「本当だって」
聞きたいことは聞き終わったのでコーヒーを飲み干し
「じゃあ」
立ち上がろうとした時、翔に手を握られた
翔は私の顔を見つめ
「今幸せ?」
「幸せに決まってるじゃない」
「本当?」
しつこいように確認する翔。私の心の隙間につけ込もうと思ってる?
「そんな事言うの?」
「兄ちゃんといる美波って気を使っているばかりで全然笑わない。俺の知っている美波じゃない」
翔が言うのも一理ある。確かに宙さんの隣にいる私はほとんど笑っていない
「それをアンタが言うのはおかしいとは思わない?」
私が言っている意味を理解したのかシュンとしている
「アンタは私を捨て別の女と結婚した。子供もいる。理由はどうであれ私の事についてとやかく言われる筋合いはない」
「わかってる。そんなこと。でも、美波には幸せになってほしいし自分らしく笑っていて欲しい」
「笑ってるわよ。アンタが知らないだけ」
「笑ってない。美波は無理しすぎている」
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