perverse
「兄の婚約者に暴力を振るって頭を打ってしまい意識を失ったのを目の前に彼女は逃げて帰りました。原因は真寛さんの勘違いで、何の関係のない兄の婚約者の全身に、歩くのもままならないくらいの危害を加えました。余りにも真寛さんの態度がひど過ぎるので、兄も怒ってて、警察に被害届を出すと言ってます」
電話の向こうの人は宙さんの事を知っているのか、翔と電話を変わったようだ
『ご無沙汰しております。そうですね、骨折はないですが全身打撲で全治二週間の診断書を貰っています。ただ意識を失うくらい頭を強く打っていますし、怖い思いをしたのか、精神的にまいっているようです。顔も真寛さんにぶたれて両頬が腫れていて、結婚前の大切な時なのにそれも救出も謝罪もなく逃げるなんて酷すぎます。身内だから許せるという限度は確実に越えています。翔に離婚の意志もありますし彼女の両親に詫びる為には、身内の事とはいえ被害届を出すしかないと私は考えています』
宙さんは私の事を守っている?
とは思えず翔の離婚する為のきっかけを掴むため、私をダシに使っているとしか思えない
ケガをしたのは事実で、宙さんは被害者である私の婚約者
電話の相手が真寛さんの親族であっても、確実に強く言える
『はあ、そう言われても。心外です。私の婚約者の顔を見てから言って下さい。こんな腫れている顔で仕事にも行けないんですよ。無実なのにこんな酷い仕打ちを受けて謝罪もなく金で解決なんて侮辱でしかありません。申し訳ないですが、警察に行かして頂きます』
そう言い、宙さんは電話を切った
『想定通りだな。アイツの親父の態度』
「煩わしいことは避けたいんだよ。所詮、真寛は血の繋がりがあっても愛人の生んだ子だからね」
二人の会話が聞こえる
電話の相手は真寛さんの実父で、警察に被害届けを出すというのは私の事を思っての事ではなくて、翔の離婚をするためのただのパフォーマンス?にしか思えないのは、私だけだろうか?
そう思うと心が痛い・・・
利用さるていることが?
それとも今ここに来て夫の翔に土下座でもして謝ってほしい?
翔の私に対する表情を見るだけで悪いと思っているのは一目瞭然
私が今、謝罪を一番して欲しいのは真寛さん
目撃者もいるのに人に暴力を振るって逃げるなんて
まして私は気を失っていたのに
人として有り得ないと思った
真寛さんは望愛ちゃんの母親でもある
【ごめんなさい】ができない親を持って子供の望愛ちゃんはできるようになるのだろうか?
同じ年頃の姉の子はできるようにしつけられていた。事が起きたら、何度も『こうやるんだよ』と説明しながら
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