perverse
怒っている?
真寛さんの母親の唇が震えているのがわかる
私は何一つ間違った事は言っていない
「被害届けを取下げないということかね?」
父親が私に聞くので首を縦に振る
「君が翔くんと不倫をしていたから制裁したと真寛は言っている。事実であればこちらとしてはしかるべき処置を取らせてもらうよ。身内だからこちらとしては穏便に済まそうと思っていたが」
父親が切り札を出したかのように勝ち誇った顔をしている
これくらいの事では屈しない
横にいる宙さんの顔を見ると『戦ってこい』と言っくれているように微笑んでくれている
「真寛さんが言っている事が事実じゃないから被害届けを出したんですよ!」
私は怒鳴るように言う
これが真実だから
この人達に真っ向から戦うしか方法がないと思った
「君と翔くんは不倫をしていないと言い切るんだな」
「はい。彼が真寛さんと付き合う前に交際した事実はありますが4年も前に終わっています。それ以上の関係はありません。調べていただいても構いません」
私は睨みながら言ってやった
別に出るところに出ても構わない
一切やましい事なんてしていない
真寛さんのただの八つ当たりなんだから
自分でもおじけず強気でいられる自分に驚いている
原動力はきっと真寛さんへの恨みだろう
「そうか」
父親は溜息をつきながら、小さな声で呟いた
彼は観念した?
それとも違う手を考えている?
相手の出方が気になるが、もうここまで来たら運に任せて突き進むしかないだろう
相手に向かって拳を上げた訳で、もう下ろすなんて中途半端な事は許されない
父親が溜息をついた
今まで強気だったのにどうしたのだろう?
「君は和士三銀行の藤井部長とは親戚なのかい?」
父親が急に話を変えてきた
和士三銀行は大手の都市銀行で、姉の夫の悠希さんが法人営業部で働いている
でも部長ではない
そういえば悠希さんのお父さんも同じ銀行だとお姉ちゃんが言ってたっけ
たぶん、その事を指しているのだろう
「そうです。姉の義父ですが、何か?」
「今回の怪我の件は、お姉さんに話たかね?」
突然、何でそんな話になるんだろう?
< 285 / 294 >

この作品をシェア

pagetop