perverse
「これから話す予定ですが」
私の返事を聞きホッとした表情をする両親
両親がお互いに顔を見合わせ、母親へ鞄の中から封筒を取りだし机の上に置いた
封筒の厚さは2センチぐらいあるだろうか?
示談金?
謝罪の言葉は無しで、お金だけで解決しようとするの?
私も下に見られてナメられたものね
何とも言えない屈辱感が私の中に漂う
それを見た私達
机に置いた両親
誰も口を開かない、不気味な時間が流れる
私がお金目当てで、封筒の厚さを見て飛び付く飛び付くでも思った?
安い女だと見られたものね
私が被害届けを出したのはお金の為じゃなくて私の幸せをこれ以上、邪魔させたくなかっただけなのに
誰も口を開かない中、重い口を開けたのは今まで何も話さなかった母親だった
「申し訳ないのですが今回の事故の件に関して一切、お姉さんや藤井部長に話さないで欲しいの。このお金は口止め料。そして被害届けも取下げて下さい」
「はあぁっ?貴方一体何言っているんですか?」
私は呆れてしまい大声を出した
この人達は謝罪に来たのではない
たぶん藤井のお父さんに内縁の妻の子が起こした事件を知られたくないから口止めに来ただけ
失礼すぎる
「お間違いですよ。事故じゃなくて、これはあなた方の娘が犯した立派な傷害事件です」
強い口調で、ハッキリ言ってやった
私はすごく怒っている
絶対被害届けをは取下げない
「大した怪我じゃないのに、大袈裟な」
母親が私を睨む
「何言ってるの?事件から何日もたって来るなんておかしいし、事故直後の私の腫れた顔を見てから言ってよ!」
被害届を出して困るのは貴方達なのに、こんな失礼な言われ方は酷すぎる
言い合をしている私達の中に入ったのは宙さんだった
『それは人に物を頼む態度じゃないでしょう?』
冷静な宙さんの一言で口をつぐみ静かになる母親
『藤井の父親って和士三銀行の審査部の偉いさんじゃなかったっけ。今からここに呼びます?』
スマホを手に取り電話番号を検索する
これはパフォーマンス?
それとも本気?
隣に座る宙さんの手元にあるスマホをじっと見る
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