perverse
その気持ちは【憎しみ】という言葉に当てはまるかもしれない

私は正直に
 
「憎んでいます」

別に性格が悪い女だと思われてもいい。むしろ、この馬鹿な元カノの話を弟に伝えてほしい

最後に悪あがきをしたいとも思った

復讐に近い気持ちかもしれない

それぐらい私は追いつめられていた

腕を下し涙でボヤけている先に宙さんの顔が映る

その表情は私の気持ちを読み取ったと確信したかのように、ニヤリと微かに笑っているように見えた

そして彼は、宙さんは私にある言葉を告げた


「翔を見返してやりませんか?」


「-------」

返事につまる

なぜなら、その言葉は今、一番私が欲しい言葉だったから

私にウソをつき別れて、自分だけ幸せになっている翔

私は彼を許せなかった

でも反面、私は自分がカワイイ

『彼よりも幸せになりたい!』

という自分がいるのも確かだ

宙さんは、そんな私の気持ちを読み取ってくれている

彼に安心感を抱いた私がいた

「--------見返し・・・・たいです・・・・。」

鼻声で答える。視線は宙さんの瞳

暗闇で見えないが、私を見つめている彼の眼にも私が映っているに違いない

そう思えるほど、私は彼の熱い視線を感じていた

彼はフッと微笑み、膝に頭を置いていた私を起き上がらせる

今、私の眼に映る彼は元彼の兄の宙さんではなく一人の【男】に見えるのは気のせいだろうか?

彼の余裕の表情が、私に安心感を与えている

そして両手で私の肩を持ち語りだした。






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