嘘はもう、
嫌、というのが精一杯だった。
恐怖で足が震えた。
どうしようどうしよう…!
「おいっ!大丈夫か?」
…え?
聞き覚えのある声がして顔を上げた。
誰…、見えない!
「だれ…やだ、怖いっ」
「琴華!」
名前を呼ばれたその瞬間にふわっと声の主の胸の中に居た。
ぎゅっと私を抱きしめてくれる温かさは次第に恐怖を忘れさせてくれた。
「…ん、落ち着いたな」
あ、この声ってもしかして…
「隼斗…?」
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