breath
午後からは室長とともに専務の補佐業務をすると聞いていたので、専務室に向う

『コンコン』ドアをノックすると

「どうぞ」

という声が聞こえる

『えっ……この声は……』

部屋には室長しかいないと思っていたので、意外な人の声に驚く

「失礼いたします」

と部屋に入ると、専務と室長が執務机で打ち合わせをしている

私は部屋に入るタイミングを間違ってしまったと思い後悔したけど、もう入ってしまったからもう遅い

「そこのソファーに座って待っていて下さい」

と室長に言われ、素直に従う

二人の話は真剣そのもの。

その話、平社員の私が聞いたらいけないんじゃない?思われるものばかり。

私は耳を塞ぐこともできず、表情も変えることはできない

平然な顔をして、聞いていないよう固まるしかなかった

20分程経った頃、やっと話が終わり

「望月さんお待たせしたね」

専務の声が耳に入る。専務は内線でコーヒーを頼み、室長と供に私の前に座った。
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