breath
「明日美……何があったんだ?」

涙の向こうに映る樹さんの瞳。揺れているようにも見える

「うっ……うっ……」

はっきり藤崎さんの事を言えばいいのに、恐怖のあまり彼女の名前さえ言うのが怖い……

私は泣くしかなかった

寝室のドアが空いていて、誰かが入ってきてベッドの端に腰をかけている樹さんの隣に座る

「望月さん、藤崎さんに何かされたのか?」

という質問。この声は…………

声の方を振り向くと、専務が心配そうに私を見ている。

私はコクンと頷いた

「やっぱり……」

小さな声で呟く専務

「専務、何で知っているんですか?」

樹さんが睨みながら聞くけど、専務は何も答えない

専務は立ち上がり、隣のリビングに樹さんを連れて行った

2人が立ち去った部屋は静かで、私の鳴き声とうめき声だけが響いていた


泣き疲れた私は意識が朦朧とする中、スヤスヤと眠りについてしまう
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