breath

クリスマスイブ当日、私はウキウキしていた

「何かいい事あった？」

いつもと様子が違う私に向かって、専務が私に聞く

「別に……」

はぐらかそうとする私に、専務はフフフ……って肩で笑いながら

「樹か？」

ってしつこく追求してくる。婚約者としては専務にも認識されているし、何も隠す事はないので

「はい」

と素直に答えると、専務は有名ブランドのロゴが入った紙袋をくれた

「専務……これは……？」
「いつもお世話になっているから、お礼」

えっ？意味がわからない……

お世話になっているのは私で、こんな高価なものを貰う筋合いはない

受け取るのを躊躇していると、溝口室長が部屋にタイミング良く入ってきた

二人の間にある紙袋を見て、悪戯げな笑みを漏らす室長

「望月さん、貰ってあげてください。専務は離婚してボッチで寂しい人なんです。あなたは専務の周りにいる唯一の女性なんですから……」