breath
クリスマスますまであと一週間

私は樹さんへのプレゼントをどうしよう……そればかりを考えていた

それ以外は考えないようにしている

この前会った樹さんは、きっと私の事を思っている……そう信じていたというか、それに縋るしかない

専務室の仕事は大分慣れ、着実に習得しているのを実感

受付とは違い責任感のある仕事で、自分の中でやる気がみなぎっている

仕事に打ち込むことで、少しでも樹さんのことを考えなくていい

そして藤崎さんのことも……

秘書室は隔離されているので、ほとんど誰とも接触することはない

だから樹さんと藤崎さんの噂を耳にする事はなかった

もし私に少しの勇気があるとしたら、先輩とか同僚に聞く事もできたのだが、現実を見たくない思いが強くてそれはしなかった

弱虫な私……

その壁を乗り越えなくては、私は変われないのはわかっていたけど、どこかで誰かが助けてくれる……そんな思いが心の片隅にあったのかもしれない

本当に狡い私
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