breath
「空いてるような、空いていないような……」

曖昧な事を言う

キチンと食べたのは、元旦の日に樹さんの実家でご馳走をよばれた以降、今はほとんど食べてないに近い状態だ

身体も空腹は示しているものの、食べる事は欲求してこないというか、興味を起こさない

信号待ちで、私の横顔を見る専務

「じゃあ、何か食べにいこうか?何、食べたい?」

専務の気遣いがわかる。でも……食べたいという欲求が全くない

「ーーー何でも良いです……」

遠慮かもしれないし、本当にわからなくなっている現実

身体の中のネジが一本抜けてしまって、正常作動がされていないのかな……なんて思ってしまう

そんな私の言葉を聞いて、専務は呆れたかのようにクスッと笑う

「正月休みで、あまり店も開いていないし、ファミレスで良いか?」

「えー専務がファミレス?似合わないですよねー」

へらず口をたたく

彼には……上司でもあるし、私の弱りきった姿を見せたくない

微かなプライドがムキムキ湧き出てきている私……
< 285 / 657 >

この作品をシェア

pagetop