breath
「そうなんですか……」

私は相槌を打つだけで精一杯

もうそれ以上は、気持ちに耐えるだけで何も言う事もできなかった

「それから藤崎は退職した」

これも常務の圧力?

それとも結婚が認められた?

私の知らない所で物事が動いている

そして、その中には私はいない

ーーー自分だけが取り残されているようで、昨日まで全面に出ていた私の闇が復活したかのように押しかけて来て不安な気持ちになる

全身が震え、涙が溢れる

もう自分の力では止める事ができない

そんな私を見て、専務は

「セクハラになるけど、許してくれ」

と前置きをして、フンワリと私を抱きしめる

「汚しても良いから、ここで泣け」

ろ胸を差し出す。

ぶっきらぼうな言い方だけど、私の事を思ってくれる彼は優しい

私はひたすら彼の胸な中で泣き続けた

専務は仕事が忙しいのにも関わらず、私が落ち着くまでずっと胸を貸してくれた

子供を癒すように、私の髪を撫でながら
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