breath
あの……でも……」

行きたくない気持ちが先行して、口から出る声は言葉になっていない

藤崎さんはそんな私の腕を強引に掴み、駅前のコーヒーショップに連れて行く

この店は先月まで帰る時に利用していた思い出の場所だ

私は彼女の強引さに観念してしまった

とりあえず席取りをし

「コーヒーでいいかしら?」

藤崎さんの問いにコクンと頷くしかできなかった

彼女はコーヒーを買いに行き、私はソファーの座席に座り、彼女の後ろ姿を見つめた

周囲の人から見れば、妊婦に買いに行かせるひどい奴と思われているかもしれない

普通の友達関係なら、私が進んで買いに行っていただろう

でも、強引に連れてこられたのだから私からすることはない

それより、何を話すのだろう?

思い浮かぶのはDNA鑑定の結果

今さっきの藤崎さんの表情は、泣き崩れて目が腫れているわけではなくあっけらかんとしていて、私みたいに悲壮感はない

たぶん結果が藤崎さんの思い通りだったのだろう。なんとなくそう思った
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