breath
それから車の中ではお互い無言が続いたが、私が思い出したかのように口を開く

「高宮さん、お急ぎですか?」

「いいえ?」

「あの……申し訳ないないのですが、社長の夕食の準備をしなければいけないので、スーパーに寄っていただいても良いですか?」

元婚約者でもある私達なのに、私の口から出る言葉は他人行儀な業務上の言葉

私は今の樹さんとの関係は業務上のものだと、キチンと割り切れている

そうできている自分に拍手してあげたい気分だ

「いいですよ」

「ありがとうございます」

そうこうするうちにスーパーに到着

樹さんは車で待っていてくれるものだと思っていたのに、ついて来るそうだ

ーーーやりにくいと思う私

そんな私の気持ちとは裏腹に、樹さんはカートを引き出す

「今日は何作るの?」

「野菜中心の……今、考え中です」

そう私が答えると

「俺、明日美の作ったハンバーグが食べたいな」

爽やかな笑顔で言う樹さん
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