breath
私の部屋のリビングには樹さんと私の二人っきり

真実を聞いた今、私は戸惑っていて何を話して良いのかわからない……

私は「先にうどんを作りますね」と言い、キッチンに行く

冷蔵庫の一番下にある野菜室を開けしゃがみこんで物色していると、背後に人がいるの感じる。

そしてそれが、樹さん……というのもわかる

私はそっけなく

「もうしばらく待っていて下さいね」

と言う。野菜を取り、パタンと冷蔵庫を閉めた瞬間、背後から樹さんに抱きしめられる

「明日美……ごめん。こんな事になっているなんて知らなくて……」

背後から私の耳元で囁くように謝る樹さん

私はその言葉を聞いて、胸がズキンと痛む

「ーーーもう終わった事ですし……」

今の私は、あしらう事で精一杯

今は胸がいっぱいで、大人な対応をするにはもう少し時間が欲しい

私は樹さんの腕を振り払い立ち上がる

「今から作りますので、リビングで待っていてください」

やっと口にできた言葉だった
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