breath
私は複雑な心境になり無口になる

ただ窓の外の流れる景色を見るだけ……

「明日美、外食して行こうか?」

「そうですね……、今日、社長はご自宅に戻らないと聞いているので夕食の準備をしなくて良いし」

樹さんの方を見て話をすると、ムッとしている表情が目に入った

もしかして……社長の話をしたから……?

樹さんが今、私に接しれくれているのは同情だと思っている

だから……私の事で嫉妬をするなんてありえない

「明日美、俺の我儘聞いてくれる?」

運転しながら、さりげなく聞いてくる

「何ですか?」

「俺、明日美の手作りハンバーグが食べたい」

嬉しそうに言う樹さん

昨日、結局作れなかったから

材料もあるし、作っても良いかな……って思い

「わかりました。出来上がったら、部屋までお持ちしますね」

営業スマイルで答えると、樹さんが不機嫌な顔をして左手で私の右手を握る

その行為にドキッと心臓が鳴ってしまう……
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