breath
そういえば、何の話をしていたんだったけ
「社長、話をそらさないですよ」
「あっ、ばれた?」
笑って誤魔化す社長
その笑顔が彼にとって良いものなのか悪い思い出なのかはわからない
ただこの件に関しては、社長の中に壁があるのを強く感じる
私が踏み込む事はできないという事を改めて思った
今日は二人とも飲み過ぎ
社長は帰り道、私の肩を抱いて歩いている
「今日はセクハラだけど許してくれ」
なんて改まって言う社長
今日は鈴香さんの事があったので寂しいのかな?
さすがに彼女の離婚は堪えたのかもしれない
「社長は鈴香さんの事は今でも本当は好きなんでしょう?」
やはり、本音が聞きたい
最初に聞いた時よりも、より酔っている社長
口が軽くなっているかもしれないので、もう一度聞いてみると私の肩に置いてある社長の手に力が入った
「昔はそういう時もあったかな」
そう言う社長の横顔は寂しそうに見える
私達は酔ってホコホコしている身体で幸せ気分で歩いて帰る
マンションに着き、普段通りエレベーター前で別れ
私は二階の部屋に階段で戻ろうとしたけど樹さんが帰宅をしたかどうか気になり、駐車場に行くけど車はなかった
スマホもを念のため確認
着信なし
やっぱモヤモヤ
樹さんはどこに行ったのだろう?
前田さんと一緒なのは確かで、私はもう一度樹さんに電話をする
3コールした後「はい」機嫌が悪い樹さんの声が聞こえる
「樹さん、今、外ですか?」
「今、外だけど。それよりどうしたの?」
「社長の事で相談があるのですが」
そう言えば、早く帰って来てくれる?
そう思いながら嘘を吐く
「何かあった?」
「あの…いいです」
って言い、電話を切る
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